COLUMN · 2026.05.21 · 当事者社労士監修

【当事者社労士が解説】ADHDで障害年金は受給できる?認定基準と申請のリアル

FROM AUTHOR · 当事者からのメッセージ

はじめに、本コラムを書いている私自身についてお伝えします。東亮介社会保険労務士事務所 代表の東亮介は、ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得している当事者です。

「言葉にできない辛さ」「やる気の問題と片付けられてしまう困難」「働けているように見えるけれど実は何度も限界を迎えている日々」――こうした体験を共有できる社労士はそう多くありません。本コラムは、ADHD当事者である代表が、同じADHD当事者の方やそのご家族に向けて、障害年金の現実を率直にお伝えするために執筆しました。

ADHDで障害年金が受給できるのか、検索してこのページにたどり着いた方の多くは、すでに日常生活や仕事で深刻な困難を抱えていらっしゃると思います。先回りしてお伝えすると、ADHDは障害年金の対象疾患です。ただし、受給には認定基準を満たす必要があり、申請書類の作り込みによって結果が大きく左右されるという現実があります。本コラムでは、認定基準から申請の実際、当事者目線でしか語れない落とし穴まで、徹底的に解説します。

1. そもそもADHDは障害年金の対象になるのか

結論から述べると、ADHD(注意欠如・多動症)は障害年金の対象になります。国民年金法施行令別表および厚生年金保険法施行令別表において、精神の障害は明確に給付対象とされており、ADHDを含む発達障害は「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づき審査されます。

ADHDが認定される根拠

厚生労働省の障害認定基準では、精神の障害を以下のように分類しています。

  • 統合失調症・統合失調症型障害および妄想性障害
  • 気分(感情)障害(うつ病・双極性障害)
  • 症状性を含む器質性精神障害
  • てんかん
  • 知的障害
  • 発達障害(ADHD・ASD・LDなど)

このうち、ADHDは「発達障害」のカテゴリーで認定対象となります。2011年の認定基準改正以降、成人発達障害の請求件数は年々増加しており、現在では精神疾患の請求の中でも一定の割合を占める疾患です。

ADHD単独 vs ADHD+二次障害

実務上、ADHDの請求パターンは大きく2つに分かれます。

  • ADHD単独での請求:ADHDのみで日常生活・就労に著しい支障があるケース
  • ADHD+二次障害での請求:ADHDを背景に、うつ病・適応障害・不安障害などを併発しているケース

当事者として正直に申し上げると、ADHD単独で2級以上の認定を取るのは、実務上はかなりハードルが高いのが現実です。一方、ADHDを抱えた結果としてうつ病や適応障害を発症し、その二次障害も含めて請求するケースでは、相対的に認定が出やすい傾向があります。

ADHD認定の現状(厳格化傾向)

2016年の精神の障害に係る等級判定ガイドライン策定以降、精神障害全般の認定は地域差を縮小する方向に動いています。一方で、「就労していること」が比較的重く評価される傾向もあり、フルタイム就労中のADHD単独請求はとくに厳しく見られがちです。ただし、就労継続のために必要な「特別な配慮」「家族や同僚のサポート」を丁寧に申立てることで、就労中でも受給に至るケースは多数あります。

2. ADHDの障害等級(1級〜3級)認定基準

障害年金には1級・2級・3級(厚生年金のみ)があります。ADHDの認定基準を等級ごとに整理します。

1級:日常生活に常時介護が必要な状態

  • 食事・身辺の清潔保持など基本的な生活行為が単独で困難
  • 家族の常時の見守り・介助がなければ生活が成り立たない
  • 就労はほぼ不可能

当事者目線での所感:ADHD単独で1級が出るケースは極めて稀です。多くは、知的障害の重複、または重度のうつ病・統合失調症の併発を伴うケースに限られます。

2級:日常生活に著しい制限がある状態

  • 常時の介護までは不要だが、家事・対人関係・金銭管理などで著しい支障
  • 就労は一般就労は困難。福祉的就労(A型・B型作業所等)か、就労できても短時間・補助業務に限定
  • 家族や支援者のサポートが必要

当事者目線での所感:ADHD請求の中心的な等級です。「ADHD+二次障害」のケースで2級を狙うのが最も現実的なルートと言えます。

3級:労働に著しい制限がある状態(厚生年金のみ)

  • 労働に何らかの制限が必要だが、日常生活は概ね自立
  • 勤務時間短縮・業務軽減などの配慮がなければ就労困難
  • 厚生年金加入歴がある場合のみ請求可能

当事者目線での所感:会社員として勤務しながらADHDに苦しむ方の救済として、3級は重要な選択肢です。「働けているから無理」と諦める前に検討すべき等級です。

2026年度の年金額(参考)

  • 1級:年額 約103万円(障害基礎年金)/配偶者加給・子の加算あり
  • 2級:年額 約82万円(障害基礎年金)/同上
  • 3級:年額 約62万円(障害厚生年金最低保障)

※ 2026年4月改定後の概算。厚生年金部分は加入歴・標準報酬月額により加算されます。

3. 当事者社労士が見るADHD申請の落とし穴

FROM AUTHOR · 当事者だからわかる視点

ここからの内容は、ADHD当事者であり社労士でもある立場から見た「申請のリアル」です。一般的な解説書には書かれない、ADHDの困難の言語化に苦しむ私自身の体験を踏まえて記述します。

落とし穴1:日常生活の困難の「言語化」ができない

ADHDの困難は、外から見えにくく、本人も「自分が困っている」と認識しにくいという特性があります。私自身、「なぜ皆ができていることが自分にはできないのか」を説明する言葉を見つけるまでに何年もかかりました。

申請書(病歴・就労状況等申立書)では、抽象的な辛さではなく、具体的な失敗エピソードを時系列で書くことが重要です。

  • 「家事ができない」ではなく「ゴミ出しの曜日を忘れ、月に3袋以上ゴミが溜まる」
  • 「金銭管理が苦手」ではなく「給料日後3日でカード上限まで使ってしまう」
  • 「人間関係が続かない」ではなく「過去5年で4回離転職、いずれも対人トラブル」

落とし穴2:医師に「困っていること」が伝わっていない

ADHDの方は、診察時に困りごとを十分に伝えられない傾向があります。理由は3つです。

  1. 診察時間が短く、伝えるべきことを整理できない
  2. 「困っている」を言語化する力そのものが弱い(ADHDの特性)
  3. 診察日には症状が比較的安定していることが多い

その結果、診断書の「日常生活能力の判定」が実態より軽く記載されてしまいます。事前に情報提供書(A4 1〜2枚)を作成し、診察前に医師に渡すことで、この落とし穴は大きく改善できます。

落とし穴3:診断書で書かれにくい困難を申立書で補えていない

診断書は医師が記載するため、医師が観察・把握できる範囲に限られます。一方、申立書は本人または家族が書くため、医師が知らない日常生活の困難を補強できます。

ADHDで申立書に書くべき項目:

  • 幼少期からのエピソード(学校での困難・友人関係・忘れ物の頻度)
  • 成人後の就労での具体的失敗(遅刻・ミス・解雇・退職理由)
  • 家庭生活での困難(片付け・金銭管理・家族とのトラブル)
  • サポートの実態(家族の代行・職場の配慮・福祉サービスの利用)

落とし穴4:「働けてるから無理」と言われた時の反論

ADHD当事者が役所や周囲から最も言われるのが「働けているなら大丈夫でしょう」という言葉です。これは認定基準を正しく理解していない誤解です。

就労中でも、以下に該当すれば受給可能性は十分あります。

  • 障害者雇用枠での就労
  • 勤務時間が短時間(週20〜30時間以下)
  • 業務内容が補助的・限定的
  • 頻繁な欠勤・遅刻があるが上司の配慮で許容されている
  • 家族の送迎・準備サポートがなければ通勤不可

4. ADHDの障害年金申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

受診状況等証明書(初診日証明)

初めてADHDと診断された医療機関で取得します。子供時代の診断であれば、当時のカルテが残っているか確認が必要です。カルテ保存期間(5年)を超えている場合の対処は、別途「受診状況等証明書が添付できない申立書」で代替します。

診断書(精神の障害用・様式120号の4)

請求日から3ヶ月以内に作成されたものが必要です。重要項目:

  • 現在の病状(具体的症状の頻度・程度)
  • 日常生活能力の判定(7項目を5段階評価)
  • 日常生活能力の程度(5段階評価)
  • 就労状況(就労形態・配慮内容・問題行動)
  • 発症からの経過

病歴・就労状況等申立書(当事者社労士のテンプレ提供)

本人または家族が記載する書類。発症から現在までを時系列で記述します。当事務所では、ADHD当事者である代表が作成したテンプレートをご相談者にご提供しています。

テンプレートの構成例:

  1. 幼少期(0〜12歳):忘れ物・落ち着きのなさ・友人関係
  2. 思春期(13〜18歳):成績の浮き沈み・対人トラブル・遅刻欠席
  3. 成人初期(19〜25歳):進学・就職・離転職の経緯
  4. 診断・治療開始期:受診のきっかけ・診断時期・治療内容
  5. 現在の生活:日常生活の困難・就労状況・サポート体制

添付書類

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 戸籍謄本・住民票
  • 受給権者の口座情報
  • 配偶者・子がいる場合は加算対象の確認書類
  • 精神障害者保健福祉手帳(参考資料として)

5. 発達障害(ASD・LD)との違いと併発ケース

ASD(自閉スペクトラム症)との認定の違い

ASDは「対人コミュニケーションの困難」と「限定された興味・反復行動」が中核症状で、ADHDの「不注意・多動・衝動性」とは異なる特性です。認定上は両者とも「発達障害」として同じ基準で判定されますが、診断書での記載ポイントが異なります。

  • ASD:対人関係・場の空気の読み取り・こだわり行動の重症度
  • ADHD:注意持続・衝動コントロール・遂行機能の重症度

LD(限局性学習症)との関係

LDは読み書き・計算など特定の学習領域に困難を持つ障害です。LD単独での障害年金請求は稀ですが、ADHD・ASDと併発するケースでは、就労困難の補強材料として申立書に記載することが有効です。

ADHD+ASD(併発)の場合の請求戦略

ADHDとASDの併発(DSM-5以降は併存診断可)は決して珍しくなく、両方の特性が日常生活を制約しているケースは多数あります。この場合、診断書には両方の診断名を併記してもらい、それぞれの症状が日常生活に与える影響を申立書で具体的に記述するのが効果的です。

知的障害との区別

知能検査(WAIS-IV等)で平均的知能(IQ70以上)が確認されていれば、発達障害として扱われます。IQ70未満であれば知的障害との重複として認定基準が変わる可能性があります。

6. ADHD当事者が陥りやすい申請の失敗例

失敗例1:「働けてるから無理」と諦めてしまう

就労中でも障害年金は受給可能です。とくにADHDの場合、「何とか働けているが、毎日限界ギリギリ」という方が多く、客観的に見れば受給対象になるケースも少なくありません。諦めずに専門家に相談する価値があります。

失敗例2:申立書で「できること」ばかり書いてしまう

ADHDの症状は波が大きく、「調子のいい日」と「動けない日」の落差が激しいのが特徴です。申立書を書くとき、調子のいい日を基準にすると、実態より軽く書いてしまいがちです。「悪い時の状態」「平均的な状態」を基準に書くのが鉄則です。

失敗例3:一人で申請して薄い書類のまま提出

ADHDの方は、書類作成そのものが大変な作業です。締切ギリギリで急いで仕上げてしまい、薄い記載のまま提出してしまうケースが多々あります。家族・支援者・社労士のサポートを受けることが受給率を大きく左右します。

失敗例4:不支給後に放置してしまう

不支給通知を受け取ると、ADHD当事者は気力を失いやすく、「もういいや」と放置してしまいがちです。しかし不支給から3ヶ月以内なら審査請求が可能で、当事務所では審査請求での逆転受給事例も多数あります。3ヶ月の期限を絶対に逃さないでください。

7. 不支給だった場合の審査請求戦略

審査請求の期限と仕組み

不支給通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に、社会保険審査官に審査請求を行います。これは行政不服審査の一種で、原決定の見直しを求める手続きです。

審査請求で勝つために必要な「追加証拠」

同じ書類で再申請しても結果は変わりません。逆転受給には新しい証拠が必要です。

  • 診断書の補強(評価項目の再記載依頼)
  • 家族・職場からの陳述書
  • 福祉サービス利用記録(就労移行支援・自立訓練など)
  • 精神障害者保健福祉手帳の等級判定
  • 過去の就労実績の客観的資料(解雇通知・休職証明)

当事務所の審査請求での逆転受給実績

当事務所では、ADHD・発達障害を含む精神障害の審査請求で多数の逆転受給実績があります。代表自身が当事者であることから、原処分の「就労できているから」という形式的判断に対し、就労継続の裏側にある困難を立体的に立証する手法を確立しています。

8. ADHDの障害年金請求に強い社労士の選び方

「障害年金専門」の中でも精神疾患経験の差

障害年金専門を謳う社労士は多いですが、その中でも精神疾患(とくに発達障害)の経験量には大きな差があります。問い合わせの際、「ADHDの受給実績はどのくらいありますか」と率直に確認することをお勧めします。

当事者性の有無

ADHDの困難を「実体験として理解できる」社労士は、申立書の作成精度がまったく違います。当事務所代表のように、当事者・手帳所持者である社労士は全国でも極めて少数です。

着手金・成功報酬の構造

透明性のある料金体系であることが重要です。当事務所は完全成功報酬制(着手金0円)で、不受給の場合は費用が発生しません。

オンライン対応の可否

ADHD当事者にとって、対面相談のための外出は大きな負担になることがあります。LINE・メール・Zoom等で完結できる事務所を選ぶと、相談継続のハードルが下がります。

9. 当事務所の特徴と実績

東亮介社会保険労務士事務所は、大阪市中央区瓦町(本町駅徒歩5分)に拠点を構える障害年金専門事務所です。

  • 代表 東亮介自身がADHD当事者・精神障害者保健福祉手帳取得者
  • 2,000人以上の相談実績/受給率98%(2025年度/当事務所相談者ベース)
  • 13年の専門経験、社労士登録番号 第27130052号
  • 本町駅徒歩5分、全国オンライン対応
  • 完全成功報酬制(着手金0円)、初回相談無料
  • LINE・メール・電話・Zoomでの相談対応

「ADHDで障害年金が取れるか不安」「不支給だったが諦めきれない」「医師との関係に悩んでいる」――どんなご相談でも、当事者である代表が直接お話を伺います。

10. ADHDの障害年金に関するよくある質問

ADHDだけで障害年金はもらえますか?
ADHD単独でも対象になりますが、実務上は2級認定のハードルが高く、二次障害(うつ病・適応障害等)を併発しているケースの方が認定されやすい傾向があります。3級(厚生年金加入歴がある場合)も含めて検討する価値があります。
仕事をしながら障害年金を受給できますか?
可能です。とくに3級は就労していても受給対象です。2級でも、障害者雇用・短時間勤務・補助業務など特別な配慮を受けながら就労している場合は受給できる可能性があります。「働けているから無理」と諦める必要はありません。
子供時代の診断記録は必要ですか?
原則として初診日の証明が必要です。子供時代の診断記録(カルテ)が残っていない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」で代替し、当時の通信簿・母子手帳・家族の陳述書などを補強資料とします。
ADHDの診断は何科で受ければよいですか?
精神科または心療内科が一般的です。発達障害専門外来を設けている病院もあります。診断には問診・心理検査・WAIS-IV等の知能検査が用いられます。初診から確定診断まで数ヶ月かかることもあります。
精神障害者保健福祉手帳がなくても申請できますか?
手帳の取得は障害年金申請の必須条件ではありません。手帳と年金は別制度で、判定基準も異なります。ただし、手帳を取得していると認定の参考資料になることはあります。代表自身も手帳取得者として、両制度の違いを実体験から熟知しています。
申請から受給開始まで何ヶ月かかりますか?
書類提出から決定通知まで約3〜4ヶ月、初回振込までさらに1〜2ヶ月かかります。トータルで5〜6ヶ月が標準です。書類不備や追加照会が入ると、さらに延びることがあります。
障害年金を受給すると税金はかかりますか?
障害年金は全額非課税です。所得税・住民税の対象にはならず、確定申告も不要です。詳細は別コラム「障害年金は非課税」をご参照ください。
不支給だった人でも逆転受給は可能ですか?
可能です。不支給から3ヶ月以内なら審査請求、6ヶ月以内なら再審査請求の道があります。当事務所では審査請求での逆転受給実績が多数あります。新たな証拠資料の追加が逆転の鍵です。

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代表 東亮介自身がADHD当事者・精神障害者保健福祉手帳取得者。当事者目線で寄り添う障害年金専門社労士。初回相談無料・完全成功報酬制・全国オンライン対応。


※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。受給可否は個別事情により異なります。最新の認定基準は日本年金機構・厚生労働省の公表資料をご確認ください。

執筆:東亮介(社会保険労務士/登録番号 第27130052号/会員番号20499/ADHD当事者・精神障害者保健福祉手帳取得者)

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