障害年金は非課税?確定申告は必要?税金面の全知識
「障害年金には税金がかかるの?」「確定申告は必要?」「家族の扶養に入れる?」――障害年金の受給が決まった方から、税金面のご相談を多くいただきます。本コラムでは、障害年金専門社労士が、所得税・住民税・健康保険料・扶養との関係まで、税金面の全知識を整理して解説します。本記事の税・扶養の比較は2026年9月時点の公表資料に基づき、適用される年分・年度を分けて説明しています。
※税務の最終的なご判断は税理士または所轄税務署にご相談ください。
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非課税の確認は、金額・扶養・65歳以降の選択と分けて整理します
短い答え: 障害年金は所得税・住民税では非課税ですが、健康保険上の扶養、老齢年金との選択、他の所得がある場合の申告は別問題です。税務の最終判断は税理士・税務署領域ですが、障害年金の受給状況と手続きの整理は相談前にできます。
障害年金は所得税・住民税では非課税ですが、老齢年金や給与・事業所得は別に確認します。
健康保険上の扶養、保険料、自治体制度は、税法上の非課税とは別の基準で整理します。
年金証書、振込通知書、他の所得、扶養確認書類を分けると相談先を判断しやすくなります。
「非課税」と「扶養・保険料」を分けて確認する
表が画面に収まらない場合は左右にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右の矢印キーで移動できます。
| 確認したいこと | 障害年金の扱い | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 所得税・住民税 | 障害年金そのものは非課税。所得金額に含めません。 | 給与、事業、老齢年金など、他の所得の課税・控除。 |
| 所得税の確定申告 | 障害年金だけなら原則不要。申告する場合も所得欄に含めません。 | 他の所得と申告不要制度、還付を受けたい控除。住民税の申告は別途確認。 |
| 税法上の扶養・配偶者控除 | 扶養される人の合計所得金額に障害年金を含めません。 | 対象年分・年度、他の所得、続柄、生計、年齢など。配偶者と扶養親族の控除は別制度。 |
| 健康保険上の被扶養者 | 年間収入の見込みに障害年金を含めます。 | 加入先の収入基準、扶養者との収入関係、同居・別居、本人の社会保険加入要件など。 |
| 国民健康保険料・65歳以上の介護保険料 | 非課税の障害年金は、原則として所得割や本人の課税年金収入等の計算に含めません。 | 世帯の所得・課税状況、人数、自治体の料率や段階。非課税でも保険料がゼロとは限りません。 |
確認先も分かれます。所得税は税務署・税理士、住民税と国民健康保険料・介護保険料は市区町村、健康保険の扶養は加入先の保険者へ、年金証書と他の収入が分かる資料を持って確認します。
1. 障害年金は所得税・住民税ともに非課税
結論からお伝えすると、障害年金は所得税・住民税ともに非課税です。障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金のいずれも該当します。日本年金機構も非課税所得の例として障害年金を案内しています。
非課税となる障害年金
- 障害基礎年金(国民年金法に基づくもの)
- 障害厚生年金(厚生年金保険法に基づくもの)
- 障害共済年金(旧共済組合法に基づくもの)
- 障害手当金(一時金)
非課税の意味
「非課税」とは、所得税の課税対象となる「所得」に含まれないという意味です。確定申告書の所得欄に記入する必要がなく、所得金額の計算からも除外されます。住民税も同様に課税されません。
注意:老齢年金・遺族年金との違い
同じ公的年金でも、老齢年金は雑所得として課税対象です。一方、遺族年金は障害年金と同じく非課税です。年金には種類があり、課税の有無が異なる点に注意が必要です。とくに、老齢年金と障害年金は原則として選択が必要ですが、65歳以上では障害基礎年金と老齢厚生年金を同時に受け取る選択ができます(日本年金機構の併給・選択の説明)。税金面で有利な選択を判断することも実務上重要です。
※税法解釈は税理士の専門領域であり、最終的なご判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
2. 確定申告が「必要なケース」「不要なケース」
障害年金「だけ」を受給している方は、原則として確定申告は不要です。ただし、他の所得がある場合は申告が必要になることがあります。
所得税の確定申告が原則不要なケース
- 障害年金のみが収入である方
- 給与について年末調整で納税が完結し、ほかに確定申告が必要となる事情がない方
- 課税対象の公的年金等の収入が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象となり、公的年金等以外の所得が20万円以下など、年金の確定申告不要制度の条件を満たす方
申告義務がある場合と、還付を受ける場合
給与収入が2,000万円を超える場合、副業や事業・不動産などの所得がある場合、2か所以上から給与を受ける場合などは、収入・所得額や源泉徴収の状況により申告が必要になります。給与や事業収入があるだけで、一律に必要と決まるわけではありません。
医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで還付を受ける申告は、納税のための申告義務とは分けて考えます。株式・配当も、口座や源泉徴収の区分、選択する申告方法により扱いが異なります。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。非課税の収入だけの場合も、自治体が所得状況を把握できていないときは、保険料の軽減などのために申告が必要か確認してください。
申告の確認:国税庁・給与所得者で確定申告が必要な人、公的年金等の課税関係。具体的な判断手順は障害年金と確定申告の詳しい記事もご覧ください。
申告書での扱い
確定申告を行う場合でも、障害年金は所得欄に記入する必要はありません。誤って雑所得欄に記入すると、本来課されない税金を支払うことになりかねないため、慎重に対応してください。源泉徴収票は障害年金には発行されません(非課税のため)。
※具体的な申告手続きは税理士または所轄税務署にご相談ください。
3. 扶養に入る条件(年収条件への影響)
障害年金を受給している方が、家族の扶養に入れるかは多くの方が関心を持つテーマです。「扶養」には税法上の扶養と健康保険上の扶養があり、それぞれ条件が異なります。
税法上の扶養:所得の対象年分・年度を確認する
障害年金は非課税のため、合計所得金額には算入されません。扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は、適用される年分・年度によって異なります。
表が画面に収まらない場合は左右にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右の矢印キーで移動できます。
| 税と対象時期 | 合計所得金額の要件 | 給与だけの場合の収入換算 |
|---|---|---|
| 2025年分の所得税/2026年度の住民税 | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 2026年分の所得税/2027年度の住民税 | 62万円以下 | 136万円以下 |
2026年分の所得税の改正は、2026年12月1日施行で、2026年分から適用されます。年間の税額計算と、年の途中の源泉徴収や年金の扶養親族等申告書で使う条件を混同しないでください。
例えば障害年金が年200万円で他に所得がなければ、合計所得金額は0円です。ただし、それだけで扶養控除等の適用が決まるわけではなく、続柄、生計、年齢なども確認します。配偶者は扶養控除の対象ではなく、配偶者控除・配偶者特別控除の要件を確認します。
年分・年度の資料:国税庁「家族と税」、2026年度税制改正(PDF)、大阪市・2027年度からの住民税改正。
健康保険上の扶養:障害年金を収入に含める
健康保険の被扶養者認定では、障害年金も年間収入の見込みに含めます。原則は年間収入130万円未満、60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方は180万円未満です。19歳以上23歳未満の配偶者以外の方には150万円未満の基準もあるため、年齢・続柄を併せて確認します。
同居の場合の扶養者の収入との関係、別居の場合の仕送り、国内居住、本人が勤務先の社会保険に加入する条件なども関係します。金額だけで認定を決めることはできません。
二つの「扶養」を分ける説明例
- 障害年金だけで年160万円、他の所得なし:税法上の合計所得金額は0円ですが、健康保険の収入判定では160万円を含めます。180万円基準に該当するか、その他の要件も確認します。
- 障害年金年100万円+給与年90万円:税法上は障害年金を除いて給与所得を計算します。健康保険では、原則として両方を合わせた年190万円の収入見込みで確認します。
これらは収入の扱いを説明する例で、扶養認定の結果を保証するものではありません。
健康保険の資料:日本年金機構・家族を被扶養者にするとき、協会けんぽ・被扶養者の認定基準。
健康保険組合により独自基準があるため、具体的には加入先の健保組合にご確認ください。当事務所では、ご相談者の世帯状況に応じた扶養判断の整理もサポートしています。
4. 健康保険料・住民税の取り扱い
障害年金は非課税ですが、健康保険料・国民健康保険料・介護保険料には影響があります。
国民健康保険料
国民健康保険料の算定では、所得割部分は障害年金を含まない所得で計算されるため、障害年金収入は保険料を増やしません。ただし、均等割・平等割は世帯人数・世帯単位で課されるため、障害年金受給者でも一定額は発生します。低所得世帯向けの軽減措置(7割・5割・2割軽減)が適用される可能性が高くなります。
介護保険料
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、本人の所得に応じた段階制ですが、障害年金は、保険料段階の判定に使う本人の合計所得金額や課税年金収入額には含まれません。住民税非課税世帯になりやすく、低い保険料段階となるケースが多いです。
保険料の資料:大阪市・国民健康保険料の決め方、大阪市・介護保険制度の案内。なお、介護保険料の個別の減免・軽減では、障害年金を収入に含める基準があります。通常の保険料算定と、減免・サービス利用料の判定を分けて確認してください。
住民税
住民税も障害年金は非課税。さらに、障害者本人かつ前年所得135万円以下の場合、住民税が全額非課税となる制度があります(地方税法による非課税措置)。世帯員全員が住民税非課税となれば、国民健康保険料の軽減・各種給付金の対象になりやすくなります。
医療費・福祉サービスへの影響
住民税非課税となることで、高額療養費の自己負担限度額が下がる、各種福祉サービスの利用料が軽減される等のメリットがあります。これは障害年金受給者の実生活で重要なポイントです。
5. 障害者控除との併用
障害年金の受給は非課税ですが、障害年金とは別に、障害者控除という所得税・住民税の控除制度があります。両者は併用可能です。
障害者控除の種類
- 障害者控除:所得税27万円・住民税26万円
- 特別障害者控除:所得税40万円・住民税30万円
- 同居特別障害者控除:所得税75万円・住民税53万円(扶養親族等の場合)
障害年金受給者は自動適用ではない
障害年金を受給していても、自動的に障害者控除が適用されるわけではありません。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の所持や、市区町村長の認定が必要です。手帳の等級と障害年金の等級は別物であるため、それぞれ申請が必要です。
障害者控除を受けるには
- 手帳所持者:確定申告書・年末調整書類に手帳情報を記載
- 65歳以上で要介護認定等:市区町村に「障害者控除対象者認定書」を申請
障害年金と障害者控除の両方を活用することで、税金面の負担をさらに軽減できる場合があります。手続きの詳細は所轄税務署または税理士にご相談ください。
6. 他の所得との合算注意点
障害年金以外に収入がある方は、合算に関する注意点があります。
給与所得と障害年金
就労しながら障害年金を受給する場合、給与は所得税・住民税の課税対象、障害年金は非課税のまま、と別々に扱われます。給与所得は年末調整で完結するか、確定申告が必要かを条件に沿って確認します。障害年金額を所得欄に記入する必要はありません。
事業所得と障害年金
事業を営みながら障害年金を受給するケースも増えています。事業所得は収入から必要経費等を差し引いて計算し、他の所得や控除も含めて申告の要否を確認します。申告する場合も、障害年金は所得欄に記入不要です。事業の経費計上・青色申告控除など税務上の工夫は事業所得側で行います。
退職金・一時金との関係
退職金は分離課税で、障害年金とは独立に扱われます。退職所得控除には勤続年数による優遇があり、障害により退職した場合の特例もあります。詳細は税理士にご相談ください。
遺族年金との併給
障害年金と遺族年金は、原則として併給できません(一人一年金)。65歳以降は組み合わせによる選択が可能になります。どちらが有利かは個別判断が必要です。
当事務所のサポート範囲
当事務所は社会保険労務士事務所のため、税務申告そのものは行いません。ただし、障害年金の受給判断・併給調整・受給後の手続き案内は専門業務として対応します。税務面は提携税理士をご紹介することも可能です。本町駅徒歩5分の事務所で対面・オンラインの相談を承っています。2,000人以上の相談実績、13年の専門経験、受給決定率98%(当事務所が受任した申請の実績値)の実績で、完全成功報酬制(着手金0円)にてサポートいたします。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
なお、非課税の障害年金は所得証明書(課税証明書)に収入として出てきません。賃貸住宅の審査などで収入を示すときは、年金証書や年金振込通知書を一緒に出しましょう。詳しくは障害年金を受給中の住まい探しで解説しています。
よくあるご質問
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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。受給可否は個別事情により異なります。
執筆:東亮介(社会保険労務士/登録番号 第27130052号/会員番号20499)