障害年金は非課税?確定申告は必要?税金面の全知識
「障害年金には税金がかかるの?」「確定申告は必要?」「家族の扶養に入れる?」――障害年金の受給が決まった方から、税金面のご相談を多くいただきます。本コラムでは、障害年金専門社労士が、所得税・住民税・健康保険料・扶養との関係まで、税金面の全知識を整理して解説します。本記事は2026年5月時点の制度に基づきます。
※税務の最終的なご判断は税理士または所轄税務署にご相談ください。
1. 障害年金は非課税(所得税法施行令第41条根拠)
結論からお伝えすると、障害年金は所得税・住民税ともに非課税です。根拠は所得税法施行令第41条に基づく非課税規定で、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金のいずれも該当します。
非課税となる障害年金
- 障害基礎年金(国民年金法に基づくもの)
- 障害厚生年金(厚生年金保険法に基づくもの)
- 障害共済年金(旧共済組合法に基づくもの)
- 障害手当金(一時金)
非課税の意味
「非課税」とは、所得税の課税対象となる「所得」に含まれないという意味です。確定申告書の所得欄に記入する必要がなく、所得金額の計算からも除外されます。住民税も同様に課税されません。
注意:老齢年金・遺族年金との違い
同じ公的年金でも、老齢年金は雑所得として課税対象です。一方、遺族年金は障害年金と同じく非課税です。年金には種類があり、課税の有無が異なる点に注意が必要です。とくに、老齢年金と障害年金はどちらか一方しか受給できないため(併給調整)、税金面で有利な選択を判断することも実務上重要です。
※税法解釈は税理士の専門領域であり、最終的なご判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
2. 確定申告が「必要なケース」「不要なケース」
障害年金「だけ」を受給している方は、原則として確定申告は不要です。ただし、他の所得がある場合は申告が必要になることがあります。
確定申告が不要なケース
- 障害年金のみが収入である方
- 給与所得があり、年末調整で完結している方(給与収入2,000万円以下・副業所得20万円以下等の条件)
- 公的年金等の収入金額が400万円以下かつ年金以外の所得が20万円以下の方(公的年金等の確定申告不要制度)
確定申告が必要なケース
- 給与所得があり、医療費控除・住宅ローン控除等を受けたい場合
- 事業所得・不動産所得などがある場合
- 株式の売却益・配当などで申告分離課税の処理が必要な場合
- 2か所以上から給与をもらっている場合
- 源泉徴収されすぎて還付を受けたい場合
申告書での扱い
確定申告を行う場合でも、障害年金は所得欄に記入する必要はありません。誤って雑所得欄に記入すると、本来課されない税金を支払うことになりかねないため、慎重に対応してください。源泉徴収票は障害年金には発行されません(非課税のため)。
※具体的な申告手続きは税理士または所轄税務署にご相談ください。
3. 扶養に入る条件(年収条件への影響)
障害年金を受給している方が、家族の扶養に入れるかは多くの方が関心を持つテーマです。「扶養」には税法上の扶養と健康保険上の扶養があり、それぞれ条件が異なります。
税法上の扶養(所得税・住民税)
扶養親族に該当するには「合計所得金額48万円以下」(給与収入103万円以下に相当)が要件です。障害年金は非課税のため、合計所得金額には算入されません。つまり、障害年金が年200万円あっても、他に所得がなければ税法上の扶養に入れます。
健康保険上の扶養(被扶養者)
こちらは税法とは別の基準です。健康保険組合・協会けんぽでは、原則として年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)が要件ですが、この「収入」には障害年金も含まれるのが一般的です。税法と異なる扱いになる点に注意してください。
判断の具体例
- 障害基礎年金2級(年約80万円)のみの方:税法・健保ともに扶養可能
- 障害厚生年金2級+基礎年金(年約160万円)の方:税法は扶養可、健保は180万円基準で個別判断
- 障害年金+パート収入の方:合算で判定(健保基準)
健康保険組合により独自基準があるため、具体的には加入先の健保組合にご確認ください。当事務所では、ご相談者の世帯状況に応じた扶養判断の整理もサポートしています。
4. 健康保険料・住民税の取り扱い
障害年金は非課税ですが、健康保険料・国民健康保険料・介護保険料には影響があります。
国民健康保険料
国民健康保険料の算定では、所得割部分は障害年金を含まない所得で計算されるため、障害年金収入は保険料を増やしません。ただし、均等割・平等割は世帯人数・世帯単位で課されるため、障害年金受給者でも一定額は発生します。低所得世帯向けの軽減措置(7割・5割・2割軽減)が適用される可能性が高くなります。
介護保険料
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、本人の所得に応じた段階制ですが、ここでも障害年金は非課税所得として扱われ、所得割の計算には含まれません。住民税非課税世帯になりやすく、低い保険料段階となるケースが多いです。
住民税
住民税も障害年金は非課税。さらに、障害者本人かつ前年所得135万円以下の場合、住民税が全額非課税となる制度があります(地方税法による非課税措置)。世帯員全員が住民税非課税となれば、国民健康保険料の軽減・各種給付金の対象になりやすくなります。
医療費・福祉サービスへの影響
住民税非課税となることで、高額療養費の自己負担限度額が下がる、各種福祉サービスの利用料が軽減される等のメリットがあります。これは障害年金受給者の実生活で重要なポイントです。
5. 障害者控除との併用
障害年金の受給は非課税ですが、障害年金とは別に、障害者控除という所得税・住民税の控除制度があります。両者は併用可能です。
障害者控除の種類
- 障害者控除:所得税27万円・住民税26万円
- 特別障害者控除:所得税40万円・住民税30万円
- 同居特別障害者控除:所得税75万円・住民税53万円(扶養親族等の場合)
障害年金受給者は自動適用ではない
障害年金を受給していても、自動的に障害者控除が適用されるわけではありません。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の所持や、市区町村長の認定が必要です。手帳の等級と障害年金の等級は別物であるため、それぞれ申請が必要です。
障害者控除を受けるには
- 手帳所持者:確定申告書・年末調整書類に手帳情報を記載
- 65歳以上で要介護認定等:市区町村に「障害者控除対象者認定書」を申請
障害年金と障害者控除の両方を活用することで、税金面の負担をさらに軽減できる場合があります。手続きの詳細は所轄税務署または税理士にご相談ください。
6. 他の所得との合算注意点
障害年金以外に収入がある方は、合算に関する注意点があります。
給与所得と障害年金
就労しながら障害年金を受給する場合、給与は所得税・住民税の課税対象、障害年金は非課税のまま、と別々に扱われます。給与所得については通常通り年末調整・確定申告が必要ですが、障害年金額を申告書に記入する必要はありません。
事業所得と障害年金
事業を営みながら障害年金を受給するケースも増えています。事業所得は通常通り確定申告し、障害年金は申告書に記入不要です。事業の経費計上・青色申告控除など税務上の工夫は事業所得側で行います。
退職金・一時金との関係
退職金は分離課税で、障害年金とは独立に扱われます。退職所得控除には勤続年数による優遇があり、障害により退職した場合の特例もあります。詳細は税理士にご相談ください。
遺族年金との併給
障害年金と遺族年金は、原則として併給できません(一人一年金)。65歳以降は組み合わせによる選択が可能になります。どちらが有利かは個別判断が必要です。
当事務所のサポート範囲
当事務所は社会保険労務士事務所のため、税務申告そのものは行いません。ただし、障害年金の受給判断・併給調整・受給後の手続き案内は専門業務として対応します。税務面は提携税理士をご紹介することも可能です。本町駅徒歩5分の事務所で対面・オンラインの相談を承っています。2,000人以上の相談実績、13年の専門経験、受給率98%(当事務所相談者ベース)の実績で、完全成功報酬制(着手金0円)にてサポートいたします。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
よくあるご質問
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初回相談は無料。完全成功報酬制で全国対応。本町駅徒歩5分/2,000人以上の実績/13年専門。
※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。受給可否は個別事情により異なります。
執筆:東亮介(社会保険労務士/登録番号 第27130052号/会員番号20499)