障害年金の不支給率は何%?令和7年度の業務統計で見る非該当の割合と精神の障害の傾向
「障害年金は、どれくらいの人が不支給になるのか」「精神の病気だと通りにくいのか」というご質問をよくいただきます。日本年金機構は毎年、前の年度に決まった障害年金の件数を「障害年金業務統計」として公表しています。2026年9月に令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の決定分が公表されました。
この記事では、令和7年度の統計と、さかのぼって令和3年度からの推移を読み、とくに精神の障害で何が起きているのかを整理します。
この記事の要点(令和7年度決定分)
- 新規に決まった障害年金144,107件のうち、非該当(不支給)は15,211件、10.6%でした。前年度の13.0%からは下がりましたが、令和5年度以前の7〜8%台よりは高い水準です。
- 精神障害・知的障害の診断書による新規請求の非該当は、障害基礎年金で10.6%(71,510件中7,563件)、障害厚生年金で5.9%(27,407件中1,629件)でした。
- 障害厚生年金の精神の障害では、3級と認定される割合が5年で40.6%から48.3%に上がり、2級は51.3%から43.3%に下がっています。
- 更新(再認定)で支給停止になったのは全体の1.0%で、精神障害・知的障害では障害基礎年金0.5%、障害厚生年金0.3%でした。
出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」令和8年9月。割合は統計の数値をそのまま掲載しています。
1. 令和7年度は、新規の10.6%が非該当でした
令和7年度に新しく障害年金を請求し、結果が出た件数は144,107件でした。内訳は次のとおりです。
| 区分 | 決定数 | 1級 | 2級 | 3級 | 障害手当金 | 非該当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 144,107件 | 11.3% | 58.6% | 19.4% | 0.3% | 10.6% |
| 障害基礎年金 | 88,052件 | 13.5% | 73.4% | - | - | 13.1% |
| 障害厚生年金 | 56,055件 | 7.8% | 35.3% | 49.8% | 0.7% | 6.5% |
このほか、書類の不備などで等級の判定ができず「却下」となったものが、障害基礎年金で704件、障害厚生年金で686件ありました。
障害基礎年金の方が非該当の割合が高いのは、障害基礎年金には3級がないためです。初診日に厚生年金に入っていれば3級と認定される程度の状態でも、国民年金だけの方は2級に届かなければ非該当になります。この違いは、後で見る「診断書の種類別」の数字にはっきり表れます。
2. 5年間の推移:令和6年度に急に上がり、令和7年度にやや下がりました
| 決定年度 | 新規全体の非該当 | 精神・知的(障害基礎年金)の非該当 | 精神・知的(障害厚生年金)の非該当 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 7.8% | 6.1% | 4.5% |
| 令和4年度 | 7.7% | 6.4% | 4.4% |
| 令和5年度 | 8.4% | 7.1% | 4.3% |
| 令和6年度 | 13.0% | 13.9% | 6.5% |
| 令和7年度 | 10.6% | 10.6% | 5.9% |
出典:日本年金機構「障害年金業務統計」各年度決定分。精神・知的は「精神障害・知的障害」の診断書による新規裁定の数値です。
令和6年度は、精神の障害で障害基礎年金の非該当が13.9%と、前年度のほぼ2倍になりました。この上昇は報道でも取り上げられ、厚生労働省が令和6年度の認定状況を調べています。
その調査では、精神の障害の不支給のうち「障害等級の目安より下の等級と判断されて不支給になったケース」などが75.3%を占めていたと報告されています(令和5年度は44.7%)。目安とは、診断書の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の組み合わせから等級を示す表で、精神の障害の審査で使われています。
厚生労働省はこれを受けて、職員が等級案を作る運用の廃止、不支給とする場合は複数の認定医が審査すること、過去の精神障害などの不支給事案の点検といった対応を示しました。令和7年度の非該当の割合が下がったのは、こうした対応と同じ時期です。ただし、統計の数字だけでは下がった理由までは断定できません。
3. 精神の障害では「3級止まり」が増えています
非該当の割合だけを見ると、障害厚生年金の精神の障害は5.9%と低く見えます。しかし、等級の内訳を見ると別の変化があります。
| 精神障害・知的障害の新規 | 1級 | 2級 | 3級 | 非該当 |
|---|---|---|---|---|
| 障害厚生年金(令和3年度) | 3.6% | 51.3% | 40.6% | 4.5% |
| 障害厚生年金(令和7年度) | 2.5% | 43.3% | 48.3% | 5.9% |
| 障害基礎年金(令和3年度) | 12.0% | 82.0% | - | 6.1% |
| 障害基礎年金(令和7年度) | 9.1% | 80.4% | - | 10.6% |
障害厚生年金では、5年の間に2級と3級の割合が逆転しました。会社員などで初診日に厚生年金に入っていた方にとって、実際の分かれ目は「受給できるかどうか」より「2級になるか、3級になるか」になっています。2級と3級では、障害基礎年金が上乗せされるかどうかが変わるため、受け取る額に大きな差が出ます。金額の違いは障害年金はいくらもらえる?で解説しています。
一方、障害基礎年金には3級がないため、2級に届かない分がそのまま非該当になります。国民年金の加入中や20歳前に初診日がある方は、2級に該当する状態が診断書で伝わるかどうかがそのまま結果を分けます。
4. 診断書の種類別:障害基礎年金の内部障害は非該当が多くなります
| 診断書の種類(令和7年度・新規) | 障害基礎年金の非該当 | 障害厚生年金の非該当 |
|---|---|---|
| 精神障害・知的障害 | 10.6% | 5.9% |
| 呼吸器疾患 | 59.3% | 19.6% |
| 循環器疾患 | 63.6% | 5.4% |
| 腎疾患・肝疾患・糖尿病 | 17.1% | 7.8% |
| 血液・造血器・その他 | 58.9% | 18.2% |
| 眼 | 8.1% | 1.9% |
| 聴覚等 | 8.7% | 4.4% |
| 肢体 | 18.8% | 4.2% |
1人が複数の診断書を使う場合は診断書ごとに数えられているため、合計は決定件数と一致しません。
循環器疾患では、障害厚生年金の非該当は5.4%なのに、障害基礎年金では63.6%にのぼります。心臓の病気でペースメーカーなどを入れた場合は3級と認定されることが多く、3級がある障害厚生年金なら受給につながりますが、障害基礎年金では非該当になりやすいためです。がんなどを含む「血液・造血器・その他」や呼吸器疾患も同じ傾向です。
身体の病気で国民年金の加入中に初診日がある方は、2級の基準に届くかどうかを請求前によく確認することが大切です。逆に、初診日に厚生年金に入っていたかどうかで結果が大きく変わるため、初診日の確認はどの病気でも最初の大事な一歩です。
5. 都道府県別:大阪は全国平均に近い水準です
| 令和7年度・新規 | 障害基礎年金の非該当 | 障害厚生年金の非該当 |
|---|---|---|
| 全国 | 13.1% | 6.5% |
| 大阪 | 12.3%(6,807件中837件) | 6.6%(4,320件中283件) |
| 京都 | 13.8%(1,699件中234件) | 7.0%(994件中70件) |
| 兵庫 | 10.4%(3,882件中405件) | 7.0%(2,313件中163件) |
| 奈良 | 12.3%(974件中120件) | 6.6%(576件中38件) |
| 滋賀 | 12.0%(1,029件中123件) | 5.8%(587件中34件) |
| 和歌山 | 19.1%(718件中137件) | 9.4%(403件中38件) |
都道府県で見ると、障害基礎年金の非該当は長野8.5%から沖縄28.4%まで差があります。ただし、障害年金の審査は日本年金機構の障害年金センターでまとめて行われており、住んでいる地域によって審査の基準が変わるわけではありません。地域による差は、請求に使われる診断書の種類(精神か身体か)や、国民年金と厚生年金の割合、請求の中身の違いが影響していると考えられます。「通りやすい県」と受け取るのではなく、どの地域でも診断書と申立書の中身が結果を左右すると考えてください。
6. 更新(再認定)で止まる人は、精神の障害では少数です
令和7年度に更新の審査を受けた208,177件のうち、そのまま継続が96.5%、増額が1.6%、減額が0.9%、支給停止は1.0%でした。精神障害・知的障害の診断書では、支給停止は障害基礎年金で0.5%、障害厚生年金で0.3%です。
一方で、障害基礎年金の循環器疾患では更新時の支給停止が22.8%と高くなっています。手術や治療で状態が変わりやすい病気では、更新の診断書で現在の状態を正確に伝えることが大切です。更新の注意点は障害年金の更新で気をつけることにまとめています。
7. 統計から見える、請求で大切なこと
当事務所の代表は、ADHDの診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を持っている当事者の社会保険労務士です。精神の障害のご相談を中心にお受けしてきた立場から、統計を次のように読んでいます。
- 精神の障害の不支給は、「目安より下の等級」と判断されたケースが中心です。診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が実際の生活より軽く書かれていないかを、提出前に確認することが大切です。等級の目安は精神の障害の認定基準で解説しています。
- 短い診察では、生活の困りごとが医師に伝わりにくいものです。調子の良い日だけを見られて実際のつらさが伝わらない、というのは当事者だからこそよく分かる難しさです。日常生活のできないこと、助けを受けていることを紙にまとめて医師に渡す方法は医師への診断書の依頼文・例文で紹介しています。
- 診断書と病歴・就労状況等申立書の内容をそろえます。働いている方は、職場での配慮や欠勤の状況まで書くことで、等級の判断材料になります。書き方は病歴・就労状況等申立書の書き方をご覧ください。
- 不支給や等級に納得できないときは、審査請求ができます。処分を知った日の翌日から原則3か月以内という期限があります。進め方は審査請求のページで案内しています。
よくある質問
- Q. 障害年金の不支給率は何%ですか?
- 日本年金機構の障害年金業務統計によると、令和7年度に新規で決まった144,107件のうち、非該当(不支給)は15,211件で10.6%でした。障害基礎年金では13.1%、障害厚生年金では6.5%です。このほか、書類の不備などによる却下が1,390件ありました。
- Q. 精神の病気は障害年金が通りにくいのですか?
- 令和7年度の新規請求で、精神障害・知的障害の診断書による非該当は、障害基礎年金で10.6%、障害厚生年金で5.9%でした。令和6年度は障害基礎年金で13.9%まで上がりましたが、令和7年度は下がっています。ただし障害厚生年金では3級と認定される割合が増えており、2級になるかどうかが大きな分かれ目になっています。
- Q. 住んでいる都道府県で通りやすさは変わりますか?
- 統計では都道府県ごとに非該当の割合に差がありますが、障害年金の審査は日本年金機構の障害年金センターでまとめて行われています。地域で審査の基準が変わるわけではなく、差は請求に使われる診断書の種類や加入していた年金制度の違いが影響していると考えられます。
- Q. 更新で障害年金が止まることはよくありますか?
- 令和7年度の更新(再認定)208,177件のうち、支給停止は1.0%でした。精神障害・知的障害の診断書では、障害基礎年金で0.5%、障害厚生年金で0.3%です。ただし、状態が変わりやすい一部の身体の病気では、支給停止の割合が高くなっています。
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※本記事は2026年10月時点の制度に基づく一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。
出典
執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)