障害年金受給者の年末調整|障害者控除の書き方と「障害年金は書かない」理由
障害年金を受けながら給与を得ている方も、勤務先で通常どおり年末調整を受けます。大切なのは、障害年金は非課税なので年末調整の所得に含めない一方、障害者控除は障害年金の受給だけで自動的に適用される制度ではないという違いです。
1. 障害年金は年末調整の所得に含めない
障害年金と遺族年金は、所得税および復興特別所得税の課税対象ではありません。そのため、障害年金について「公的年金等の源泉徴収票」は発行されず、給与所得者が年末調整で見積もる合計所得金額にも含めません。
一方、給与、副業、事業、不動産、老齢年金など、課税対象となる所得がある場合は、それぞれ通常のルールで年末調整または確定申告の対象を判定します。障害年金を受けていることによって、給与などほかの所得まで非課税になるわけではありません。
2. 障害年金の受給と障害者控除は別制度
所得税の障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者または扶養親族が、所得税法上の「障害者」に該当するときに受けられる所得控除です。
障害年金を受給しているという事実だけでは、障害者控除の対象と確定しません。身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、知的障害の判定、65歳以上の方に対する市町村長等の認定など、国税庁が定める対象区分のいずれかを確認します。障害年金の等級と税法上の「障害者」「特別障害者」の区分は同じものではありません。
3. 控除額は27万円・40万円・75万円
- 障害者:27万円
- 特別障害者:40万円
- 同居特別障害者:75万円
75万円の同居特別障害者控除は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族が、納税者本人、配偶者または生計を一にする親族のいずれかと常に同居している場合の区分です。納税者本人が特別障害者の場合の控除額は40万円であり、本人に75万円を適用する制度ではありません。
4. 年末調整での申告方法
給与所得者が年末調整で障害者控除を受ける場合は、勤務先へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者に関する欄へ、対象者と区分を記載します。令和8年分は国税庁が公開する令和8年分の様式・記載例を使用し、勤務先の提出期限に従ってください。
- 控除対象が本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれか
- 国税庁の対象区分に該当する根拠
- 障害者、特別障害者、同居特別障害者のどの区分か
- 年の途中で手帳交付や認定、同居状況などに変更がなかったか
勤務先から確認書類について案内がある場合は、その指示に従います。個別の税務判断や記載方法は、勤務先の年末調整担当者、税務署または税理士へ確認してください。
5. 年末調整で申告し忘れた場合
年末調整で障害者控除を申告し忘れても、確定申告によって控除を適用できる場合があります。確定申告義務のない方が納め過ぎた所得税の還付を受ける還付申告は、原則として対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。
すでにその年分の確定申告書を提出している場合は、還付申告ではなく更正の請求など別の手続きになることがあります。提出済み申告書の有無と対象年を伝えて、税務署または税理士へ確認してください。
6. 年末調整前のチェックリスト
- 障害年金を給与や老齢年金と混同して所得見積額に加えていないか
- 障害者控除を「障害年金受給者だから」という理由だけで選んでいないか
- 対象者と障害区分を確認したか
- 同居特別障害者の75万円を納税者本人に適用していないか
- 勤務先が指定する提出期限と令和8年分の様式を確認したか
税務上の控除手続きと、障害年金の請求・更新は別の手続きです。当事務所では障害年金の請求や審査請求についてご相談を受けています。年末調整や確定申告そのものの税務判断は、税務署または税理士へご確認ください。
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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。
執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)