COLUMN · 2026.05.12

障害年金は最大5年さかのぼって受給できる仕組みとは

障害年金の請求を検討していると、「もっと早く申請しておけばよかった」と感じる方は少なくありません。実は、一定の条件を満たす場合、過去にさかのぼって障害年金を受け取れる可能性があります。当事務所では、このさかのぼり請求(認定日請求)について相談を受ける機会が多いため、仕組みと注意点を整理してお伝えします。

1. 障害年金の「認定日請求」とはどのような制度か

障害年金の請求方法には、大きく分けて「認定日請求」「事後重症請求」の2種類があります。

認定日請求とは、障害認定日(原則として初診日から1年6か月を経過した日)時点の状態が、すでに障害等級に該当していた場合に、その時点にさかのぼって年金を請求する方法です。これに対して事後重症請求は、認定日時点では基準に満たなかったものの、その後症状が悪化した場合に請求時点を受給開始日とする方法です。

認定日請求が認められると、障害認定日の翌月分から年金が発生したものとして扱われます。ただし、後述する時効の関係から、実際に受け取れる過去分には上限があります。

2. なぜ「最大5年」という上限があるのか

障害年金の受給権は、障害認定日に発生します。しかし、請求せずに放置していた場合、時効によって消滅した期間の年金は受け取ることができません

年金給付の時効は、国民年金法および厚生年金保険法において5年と定められています。つまり、請求した日から過去5年より前に発生した年金については、時効が成立しており、受給できない可能性があります。

具体的な例として考えると、仮に障害認定日が10年前であったとしても、請求できる過去分は請求日から遡って最大5年分にとどまります。10年分すべてをさかのぼって受け取ることはできない点に注意が必要です。

このことから、認定日請求を検討している場合は、できるだけ早期に手続きを進めることが重要です。時間の経過とともに、受け取れる可能性のある期間が短くなっていきます。

3. 認定日請求が認められるための主な条件

認定日請求を行うためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な条件は以下のとおりです。

  • 初診日において、国民年金または厚生年金の被保険者であること(または被保険者であった期間中に初診日があること)
  • 保険料の納付要件を満たしていること(初診日の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間について保険料を納付または免除されていること。または、初診日の前々月以前の直近1年間に未納がないこと)
  • 障害認定日時点の状態が、障害等級(1級・2級、または厚生年金の場合は3級)に該当していること
  • 障害認定日時点の診断書を取得できること

特に注意が必要なのは、障害認定日時点の診断書の取得です。認定日請求では、現在の診断書だけでなく、障害認定日ごろ(前後3か月以内)の状態を記載した診断書が必要になります。年数が経過していると、当時のカルテが破棄されているケースもあり、診断書の取得が難しくなることがあります。

4. 診断書の取得が困難な場合の対応

医療機関のカルテには法定保存期間(最終記載から5年)があります。そのため、初診から長期間が経過している場合、当時の記録が残っていないことがあります。診断書が取得できなければ、認定日請求自体が難しくなる場合があります。

ただし、カルテが存在しない場合でも、当時の診察記録や入院記録の一部が別の形で残っていることがあります。また、複数の医療機関を受診していた場合、別の施設に記録が保管されているケースもあります。

当事務所では、こうした状況においても、医療機関への問い合わせや記録の調査に関するサポートを行っています。ただし、記録が一切残っていない場合には認定日請求が困難と判断され、事後重症請求に切り替えるという選択肢を検討することになる場合もあります。

5. 認定日請求と事後重症請求を併合して行う方法

実務上よく用いられる方法として、認定日請求と事後重症請求を同時に行う「併合請求」があります。

これは、認定日時点の診断書と現在の診断書の両方を提出し、どちらの時点でも審査を受けるという方法です。認定日時点の状態が等級に該当すると認められれば認定日請求として処理され、該当しない場合でも現在の状態が基準を満たしていれば事後重症として請求が認められる可能性があります。

この方法は、認定日時点の状態が等級に達していたかどうか不明確な場合や、認定日時点の診断書は取得できたものの内容が軽い場合などに、事後重症請求の受給権だけでも確保するために有効な手段となることがあります。

6. さかのぼり請求を検討する際に確認しておくべきこと

認定日請求を検討する際には、事前に以下の点を確認しておくことが望ましいと考えます。

  • 初診日の特定:初診日がいつなのかを明確にすることが、すべての手続きの出発点になります。複数の医療機関を受診していた場合、最初に受診した日が初診日とされるのが原則です。
  • 当時のカルテの有無:障害認定日ごろに受診していた医療機関に問い合わせ、記録が残っているかどうかを確認します。
  • 保険料納付状況の確認:初診日時点の納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所で確認することができます。
  • 現在の主治医との相談:診断書の作成を依頼するにあたり、主治医に認定日請求の趣旨を説明し、協力が得られるかどうかを確認しておくことが重要です。

さかのぼり請求は、手続きの複雑さや必要書類の多さから、ご自身だけで進めるには負担が大きい場合があります。当事務所では、初診日の調査から診断書取得のサポート、申請書類の作成まで、一貫してお手伝いできる体制を整えています。請求の可否や見通しについては個々の状況によって異なりますので、まずは状況をお聞かせいただくことをお勧めします。

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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。

執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)

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