障害年金の子の加算・配偶者加給年金まるわかり
障害年金の受給額を考えるとき、本体の年金額だけに目が向きがちですが、家族構成によっては「子の加算」や「配偶者加給年金」が上乗せされる場合があります。当事務所に寄せられるご相談でも、これらの加算制度を知らないまま申請していたというケースは少なくありません。本コラムでは、各加算の仕組み・金額・要件・注意点を整理してお伝えします。
MONEY / PAYMENT CHECK
加算の有無は、等級・年金種類・家族構成を並べて確認します
短い答え: 子の加算や配偶者加給は、家族がいるだけで自動的に付くものではありません。障害基礎年金か障害厚生年金か、1級・2級か、子や配偶者の年齢・生計維持関係を分けて見る必要があります。
等級、初診日の加入制度、家族構成で金額と加算の有無が変わります。
認定日請求か事後重症請求か、証書の支払開始月、通知書を分けて確認します。
初診日、診断書、年金証書、不支給通知、就労状況を揃えると判断が速くなります。
2026年度:どの年金に、誰の加算が付くか
金額は2026年度(令和8年度・2026年4月分〜2027年3月分)の年額です。家族がいるだけで加算が決まるのではなく、生計維持や年齢、支給停止の条件を併せて確認します。
表が画面に収まらない場合は左右にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右の矢印キーで移動できます。
| 受けている年金・等級 | 加算対象 | 主な年齢条件 | 加算の年額 |
|---|---|---|---|
| 障害基礎年金1級・2級 | 生計を維持している子 | 18歳到達後最初の3月31日まで、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子。婚姻していないことも確認。 | 第1子・第2子:各243,800円 第3子以降:各81,300円 |
| 障害厚生年金1級・2級 | 生計を維持している配偶者 | 原則65歳未満。配偶者自身の年金による支給停止も確認。 | 243,800円 |
| 障害厚生年金3級 | この表の配偶者加給・子の加算は付かない | 3級には障害基礎年金がないため、子の加算も付かない。 | 加算なし |
障害基礎年金だけを受けている場合、配偶者加給はありません。1級・2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受けている場合は、子の加算と配偶者加給の要件をそれぞれ確認します。
金額・対象の資料:日本年金機構「加給年金額と子の加算額」(PDF)。
1. 子の加算・配偶者加給年金とはどのような制度か
障害年金は、受給者本人の所得保障を目的とした制度ですが、扶養している家族がいる場合には一定額が加算される仕組みが設けられています。これが「子の加算」と「配偶者加給年金」です。
ただし、これらの加算はすべての障害年金に付くわけではありません。障害基礎年金と障害厚生年金(障害共済年金を含む)では、加算の種類や要件が異なります。この違いを正確に理解することが、受給漏れを防ぐうえで重要です。
2. 障害基礎年金における子の加算
障害基礎年金(1級・2級)を受給している方には、生計を維持している子がいる場合に「子の加算」が支給されます。
加算の対象となる「子」の範囲は以下のとおりです。
- 18歳到達後の最初の3月31日までの間にある子(高校卒業年度末まで)
- 20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子
2026年度(令和8年度)の加算額は、第1子・第2子がそれぞれ年額243,800円、第3子以降は各81,300円となっています(物価スライドにより毎年度改定されます)。
注意が必要なのは、子の加算は受給権発生時に子がいない場合でも、その後に子が生まれた・婚姻した配偶者の連れ子と養子縁組したなどの事情で後から加算が発生する可能性があるという点です。事情が変わった際は速やかに日本年金機構または年金事務所へ届け出ることが求められます。
3. 障害厚生年金における配偶者加給年金
障害厚生年金(1級・2級)を受給している方には、生計を維持している配偶者がいる場合に「配偶者加給年金額」が加算されます。障害基礎年金には配偶者加給はなく、障害厚生年金に固有の制度です。
2026年度の配偶者加給年金額は年額243,800円です。
加算が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 配偶者が65歳未満であること(65歳以降は原則として加算が停止されます)
- 受給権者によって生計を維持されていること(概ね前年収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満)
- 法律上の配偶者のほか、事実婚関係が認められる配偶者も対象となり得ます。事実婚の場合は、関係を確認するための書類が必要です(日本年金機構・事実婚関係の申立書(PDF))
配偶者が65歳に達すると、原則として配偶者加給年金の加算対象から外れます。ただし、配偶者が老齢基礎年金の振替加算の対象となる場合は、65歳以降も一定額が配偶者の年金に上乗せされる制度があります(生年月日により金額が異なります)。
配偶者が、加入期間20年以上等の老齢厚生年金・退職共済年金の受給権を持つ場合や、障害年金を受け取る間は、配偶者加給年金額が支給停止となります。配偶者が65歳未満でも確認が必要です。生計維持は、日本年金機構の説明に沿って、生計同一と収入・所得の両方を確認します。
4. 障害厚生年金3級・障害基礎年金のみの場合の取り扱い
障害厚生年金3級は配偶者加給年金の対象外です。また、国民年金加入中に初診日がある方(障害基礎年金のみ受給)も同様に配偶者加給はありません。
一方、障害基礎年金と障害厚生年金を併給している場合(1・2級)は、障害厚生年金側に配偶者加給、障害基礎年金側に子の加算が、それぞれ該当要件を満たせば両方付く可能性があります。
こうした併給の構造は複雑なため、自分の受給状況にどの加算が適用されるか分からないという方も多くいらっしゃいます。受給中の方は年金証書や支払通知書を確認し、加算が正しく反映されているかを一度チェックされることをお勧めします。
家族構成に当てはめる説明例
次は制度の組み合わせを説明するための例です。いずれも対象年齢・生計維持などの要件を満たし、停止事由がない前提で、2026年度の加算部分だけを示しています。実際の受給事例ではありません。
- 障害基礎年金2級、配偶者と子1人:子の加算は年243,800円。障害基礎年金には配偶者加給は付きません。
- 障害基礎・厚生年金2級、65歳未満の配偶者と子2人:子の加算は243,800円×2人、配偶者加給は243,800円で、加算部分は計731,400円です。
- 障害基礎年金1級、子3人:子の加算は243,800円×2人+81,300円で、計568,900円です。本体の年金額とは分けて確認します。
5. 加算を受けるための手続きと届け出の注意点
子の加算・配偶者加給年金は、受給権者自身が届け出なければ自動的に支給されないケースがあります。特に、年金受給開始後に結婚した・子が生まれた・養子を迎えたなどの変化があった場合は、速やかに「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届」など、変更内容に合った書類を提出する必要があります。
届け出が遅れた場合、遡及して支給されるのは時効(5年)の範囲内に限られる場合があります。長期間届け出が漏れていると、本来受け取れたはずの加算額を受け取れなくなる可能性があるため、早めの対応が望まれます。
主な届け出の場面としては以下が挙げられます。
- 受給開始後に婚姻し、配偶者を生計維持するようになった場合
- 受給開始後に子が生まれた・養子縁組した場合
- 加算対象の子が死亡した・婚姻したなどの場合(加算額・加給年金額対象者不該当届)。18歳到達年度末や、障害の状態にある子の20歳到達だけで対象外になる場合は、届出は不要です(日本年金機構・子が加算対象から外れたとき)
- 配偶者が65歳に達した場合(加給年金停止)
- 配偶者の収入が基準を超えた場合
受給後の変更は、出来事と資料をセットにする
表が画面に収まらない場合は左右にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右の矢印キーで移動できます。
| 変化 | 確認するもの・手続き |
|---|---|
| 結婚・出生・養子縁組などで対象家族が増えた | 出来事の日付、続柄、生計同一、収入が分かる資料をそろえ、加算開始の届出を確認します。 |
| 配偶者が年金を受けられるようになった | 年金の種類、加入期間、受給権が発生した日、実際の支給状況を確認します。加給年金額の支給停止の届出が必要になる場合があります。 |
| 年齢到達・婚姻・離婚・死亡・生計維持関係の変化 | 対象者と変化した日付を整理します。年齢だけでなく、障害の状態による子の年齢条件や、届出の要否も確認します。 |
日本年金機構の加算開始手続きでは、様式・主な添付書類・提出先を確認できます。障害基礎年金のみの方は市区町村、障害厚生年金と障害基礎年金を受けている方は年金事務所が提出先です。終了・停止の確認は加給年金額の支給停止事由該当届など、事情に合う手続きを案内してもらってください。
6. まとめ:加算制度は「知っているかどうか」で大きく変わる
子の加算・配偶者加給年金は、要件を満たす場合には本体の障害年金に上乗せして受け取ることができる重要な制度です。しかし、申請・届け出を行わなければ自動的に支給されないケースも多く、制度を知っているかどうかが受給額に直結します。
当事務所では、障害年金の申請サポートにあたり、本体の請求手続きと合わせて加算の要件確認・届け出漏れのチェックも行っております。すでに障害年金を受給中の方も含め、ご自身の受給状況に疑問がある場合は、専門家への相談をご検討ください。
FREE CONSULTATION
障害年金の申請・審査請求のご相談は当事務所へ
初回相談は無料です。新規申請は着手金0円の完全成功報酬制で、全国からご相談を承っております。不支給や等級への不服がある場合は、通知書・期限・提出済み書類・再申請との違いを分けて確認できます。
※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。
執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)