COLUMN · 2026.05.13

障害年金と結婚|配偶者の収入・扶養への影響は?

障害年金を受給している方から、「結婚を考えているが、年金に何か影響が出るのだろうか」というご相談を当事務所ではたびたびお受けします。配偶者の収入によって年金が減額されるのではないか、扶養に入ることで受給資格が変わるのではないかといった不安を抱える方は少なくありません。この記事では、結婚が障害年金に与える影響について、実務的な観点から整理して解説します。

1. 障害年金に「配偶者の収入」による所得制限はあるか

まず多くの方が気にされる点として、「配偶者が働いていると障害年金が減らされるのではないか」という疑問があります。結論から申し上げると、障害年金には配偶者の収入を理由とした所得制限は設けられていません。

老齢年金や遺族年金の一部には支給停止・調整の仕組みがありますが、障害基礎年金・障害厚生年金ともに、配偶者の年収がいくらであっても、それを理由に支給額が変わることはありません。ご自身の障害状態と保険料納付要件を満たしている限り、結婚後も引き続き同額の障害年金を受け取ることができます。

ただし、受給者本人の所得については注意が必要です。障害基礎年金には本人所得による支給停止の制度があり、前年の所得が一定額を超えると支給停止となる場合があります(20歳前傷病による障害基礎年金の場合)。通常の障害基礎年金・障害厚生年金には本人所得による制限もありませんが、20歳前障病による受給者は別途確認が必要です。

2. 結婚すると「配偶者加算」が加わる場合がある

障害年金と結婚の関係で見落とされがちなのが、障害厚生年金の「配偶者加算(加給年金額)」の存在です。

障害厚生年金1級・2級を受給している方が、生計を維持している配偶者(65歳未満)を持つ場合、年金額に加給年金額が加算される仕組みがあります。2024年度現在、この加算額は年額約234,800円(法律改正・毎年度改定により変動します)です。

ただし、この加算が適用されるためにはいくつかの要件があります。

  • 受給者が障害厚生年金1級または2級であること
  • 配偶者が65歳未満であること
  • 配偶者の年収が850万円未満(または所得655万5千円未満)であること(生計維持の認定基準)
  • 法律上の婚姻関係にあること

結婚によって配偶者加算が新たに加わる可能性があるため、障害厚生年金1・2級を受給している方は、年金事務所または当事務所にご相談のうえ、加算の届出手続きを行うことをお勧めします。届出を忘れると、本来受け取れるはずの加算が反映されないままになることがあります。

3. 配偶者の扶養に入ることと障害年金の関係

次に「配偶者の社会保険上の扶養に入ると、障害年金はどうなるか」という点を整理します。

健康保険の被扶養者(いわゆる「社会保険の扶養」)に入る条件の一つとして、年間収入が130万円未満であることが求められます(障害者・60歳以上の方は180万円未満)。ここで問題になるのが、障害年金が「収入」としてカウントされるかどうかです。

健康保険の被扶養者認定においては、障害年金も収入としてカウントされます。たとえば障害基礎年金2級の年額は約816,000円(2024年度)ですが、これに就労による給与収入などが加わって合計が130万円以上になる場合、配偶者の扶養には入れない可能性があります。

一方、所得税・住民税上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)については、障害年金は非課税所得であるため、金額にかかわらず合計所得金額には含まれません。つまり税務上の扶養の判定では、障害年金の受給額は関係しません。

社会保険上の扶養と税務上の扶養は仕組みが異なりますので、混同しないよう注意が必要です。

4. 障害年金受給中の結婚に必要な届出・手続き

結婚した際には、年金に関するいくつかの届出が必要になることがあります。主なものを以下に整理します。

  • 氏名・住所変更の届出:結婚により氏名や住所が変わった場合、年金事務所または街角の年金相談センターへ変更届を提出します。マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている場合は届出が省略できることもあります。
  • 配偶者加算(加給年金額)の加算請求:障害厚生年金1・2級の方で要件を満たす場合、加給年金額加算の手続きが必要です。
  • 生計維持確認の手続き:加給年金額の認定に際し、配偶者との生計維持関係を証明する書類の提出を求められる場合があります。

届出のタイミングや必要書類は状況により異なりますので、不明な点は年金事務所または専門家にご確認いただくことをお勧めします。

5. 障害等級の更新(再認定)と結婚の関係

障害年金には、一定期間ごとに障害状態を確認する「更新(障害状態確認届の提出)」の仕組みがあります。この更新は、結婚の有無とは直接関係ありません。更新の時期や頻度は障害の種類・程度によって異なりますが、婚姻したことで等級が変わることはなく、あくまで障害の医学的状態に基づいて判断されます。

ただし、結婚・同居に伴い生活環境が大きく変わることで、医師が作成する診断書の内容に影響が出る場合があります。たとえば、日常生活の援助者が変わることで「日常生活能力の程度」の記載が変わる可能性があります。更新のタイミングが近い方は、主治医に現在の生活状況を正確に伝えておくことが重要です。

6. まとめ:障害年金と結婚は基本的に両立できる

以上を整理すると、障害年金の受給は結婚によって直ちに不利益を受けるものではありません。重要なポイントを改めて確認します。

  • 配偶者の収入が理由で障害年金が減額・停止されることは原則ありません
  • 障害厚生年金1・2級の方は、結婚により配偶者加算が加わる可能性があります
  • 社会保険上の扶養認定では障害年金も収入としてカウントされるため、130万円の壁に注意が必要です
  • 税務上の扶養では障害年金は非課税所得のため影響しません
  • 結婚後は氏名・住所変更など必要な届出を忘れずに行うことが大切です

障害年金と結婚に関するルールは、年金の種類(基礎・厚生)や等級、20歳前傷病かどうかなどによって細かく異なります。ご自身の状況に即した判断が必要ですので、不明な点は専門家にご相談いただくことをお勧めします。当事務所では、障害年金の受給に関するご相談を大阪を中心に全国対応で承っております。

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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。

執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)

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