COLUMN · 2026.04.17

がん(悪性新生物)で障害年金を受給するには

「がんでも障害年金を受け取れるのか」と疑問に思われる方は少なくありません。障害年金というと、肢体の障害や精神疾患をイメージされることが多いですが、がん(悪性新生物)も要件を満たせば支給対象となります。当事務所では、がんを患いながら生活や就労に支障をきたしている方から多くのご相談をいただいており、本コラムでは制度の基本から申請のポイントまでを丁寧に解説します。

1. がんは障害年金の対象になるのか

結論から申し上げると、がん(悪性新生物)は障害年金の支給対象疾患に含まれます。障害年金は特定の病名に限定された制度ではなく、病気やけがによって生じた「障害の状態」に対して支給されるものです。したがって、がんそのものはもちろん、手術後の後遺症、抗がん剤・放射線治療による副作用、あるいは末期がんに伴う全身状態の悪化なども、審査の対象となり得ます。

ただし、がんの診断を受けているだけでは受給できるわけではありません。日本年金機構が定める障害認定基準に照らして、一定の障害等級(1級・2級・3級)に該当すると認められることが必要です。がんについては、「悪性新生物による障害」として認定基準が設けられており、自覚症状・他覚所見・検査成績・治療経過・日常生活への影響などを総合的に評価して等級が決定されます。

2. 障害認定基準における評価のポイント

がんの障害認定においては、「がん自体の進行度」だけでなく「日常生活や就労への影響」が重視されます。具体的には、以下のような状態が評価の対象となります。

  • 倦怠感・易疲労性が著しく、日中のほとんどを臥床して過ごさざるを得ない状態
  • 疼痛・呼吸困難・嘔気などの症状が強く、日常生活動作が著しく制限されている状態
  • 抗がん剤や放射線治療の副作用により、継続的な就労が困難な状態
  • 術後の機能障害(消化器・呼吸器・泌尿器など)が残存している状態

特に倦怠感(がん関連疲労)は、がん患者さんが最も頻繁に訴える症状のひとつであり、就労不能の主因となることがあります。しかし、倦怠感は客観的に数値化しにくい症状であるため、診断書への丁寧な記載と、日常生活状況を具体的に示す書類の準備が非常に重要になります。

3. 申請に必要な3つの要件

障害年金を申請するにあたっては、病名や症状の重さだけでなく、制度上の要件をすべて満たしていることが前提となります。主な要件は以下の3点です。

  • 初診日要件:がんと診断された最初の受診日(初診日)に、国民年金または厚生年金の被保険者であること、あるいは過去に一定期間加入していたこと
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、一定の保険料納付実績があること(原則として、初診日の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の期間、保険料を納付または免除されていること)
  • 障害状態要件:障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日、またはそれ以前に症状が固定した日)において、障害等級1〜3級に該当する状態であること

なお、障害認定日に遡って請求する「認定日請求」と、認定日時点では申請しておらず現在の状態で請求する「事後重症請求」の2種類があります。がんの場合、病状の進行とともに状態が変化することが多いため、どちらの方法で申請するかを慎重に判断する必要があります。

4. 診断書作成で注意すべきこと

障害年金の審査において、診断書は最も重要な書類のひとつです。がんの申請では「血液・造血器・その他の障害用」の診断書様式(様式第120号の7)を使用することが一般的ですが、他臓器への転移や術後の機能障害がある場合は、複数の様式を組み合わせて提出することもあります。

担当医師に診断書を依頼する際は、日常生活の具体的な制限内容を正確に伝えることが重要です。「何時間以上は起き上がっていられない」「食事の準備ができない」「外出は週に何回程度に限られる」といった具体的な情報を医師に共有することで、実態に即した診断書が作成される可能性が高まります。当事務所では、依頼文の作成サポートや医師との情報共有の仕方についてもアドバイスしております。

5. 就労している場合でも受給できることがある

「働いていると障害年金は受給できない」と誤解されている方が多くいらっしゃいますが、これは正確ではありません。就労の有無は審査上の一要素であり、働いているという事実だけで受給が否定されるわけではありません

がんの治療を続けながら短時間勤務や在宅勤務で何とか就労を継続している方、あるいは職場の特別な配慮のもとで勤務している方などは、その就労実態が「健常者と同等の就労ではない」と判断される場合があります。就労している場合は、勤務状況・配慮の内容・体調による欠勤の頻度などを「病歴・就労状況等申立書」に丁寧に記載することが重要です。実態を正確に伝えることで、審査において適切に評価される可能性があります。

6. がんの障害年金申請で専門家に相談すべき理由

がんによる障害年金申請は、認定基準の解釈・診断書の内容・申立書の記載方法など、複数の専門的判断が求められる手続きです。特に、倦怠感や疼痛など「見えにくい症状」を書類上でいかに正確に表現するかが、審査結果に大きな影響を与えることがあります。

また、初診日の特定や保険料納付要件の確認など、手続きの入り口の段階で躓いてしまうケースも少なくありません。治療と生活の維持だけでも大変な状況の中で、複雑な書類手続きを一人でこなすことは容易ではありません。当事務所では、大阪を中心に、がんに関する障害年金のご相談を多数お受けしており、書類収集から申請まで一貫してサポートしております。お気持ちに寄り添いながら、丁寧に対応させていただきます。

FREE CONSULTATION

障害年金の申請・審査請求のご相談は当事務所へ

初回相談は無料です。完全成功報酬制で、全国からご相談を承っております。


※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。

執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)

電話相談 LINE相談 メール