COLUMN · 2026.05.13

障害年金受給中の副業・アルバイトは可能? 所得制限と注意点を社労士が解説

障害年金を受給しながら、パートやアルバイト、あるいは在宅での副業を検討されている方から「収入が生じると年金が止まるのではないか」というご相談を当事務所でも多くいただきます。結論から申し上げると、障害年金には原則として所得制限がなく、就労や収入の有無だけで受給停止になることはありません。ただし、いくつかの重要な注意点があります。本記事ではその仕組みと実務上の留意事項を整理します。

1. 障害年金に所得制限はあるのか

まず大前提として確認しておきます。障害基礎年金・障害厚生年金のいずれにも、原則として所得による支給制限はありません。生活保護や障害者総合支援法に基づく一部給付とは異なり、収入が一定額を超えたからといって自動的に支給が止まる仕組みにはなっていないのです。

ただし、20歳前傷病による障害基礎年金については例外があります。この年金は保険料納付実績がない期間の傷病を対象としているため、受給者本人の前年所得が一定額を超えた場合、支給が全額または半額停止される場合があります。令和6年度の基準では、扶養親族がいない場合、前年所得が約472万1,000円超で半額停止、約370万4,000円超で全額停止の目安とされています(年度により改定されます)。

通常の障害年金(初診日時点で被保険者であった方が対象)については、このような所得制限はありません。

2. 就労の事実が「障害状態の審査」に影響する点に注意

所得制限がないことと、就労の事実が年金に全く影響しないことは別の話です。障害年金の支給要件は「障害の程度が年金の等級に該当していること」であり、日本年金機構は定期的に障害状態を確認します。これが「更新(障害状態確認届)」と呼ばれる手続きです。

更新の際、就労の状況は診断書に記載される項目のひとつです。特に精神疾患・知的障害・発達障害を事由とする障害年金では、就労の有無や就労時間、職場での配慮の有無などが障害等級の判定に影響を与える可能性があります。フルタイムで安定就労しているという事実は、審査において「日常生活能力が改善した」と判断される根拠のひとつとして扱われることがあります。

身体障害を事由とする場合は、障害そのものの器質的な状態(手足の機能、視力・聴力の数値など)が主な判断基準となりますので、就労の影響は相対的に小さい傾向にありますが、状況により異なります。

3. 等級ごとの働き方の実態と審査の傾向

障害年金は1級・2級・3級(厚生年金のみ)に区分されます。等級が高い(障害が重い)ほど、就労との関係で審査が厳しくなることがあります。以下に一般的な傾向を整理します。

  • 1級:日常生活に著しい制限がある状態が前提。フルタイム就労の事実は等級継続の審査に影響する可能性が高い
  • 2級:日常生活に相当な制限がある状態。週20時間未満の短時間就労や障害者雇用での就労事例もあるが、就労内容・配慮状況が審査で確認される
  • 3級(障害厚生年金のみ):労働に制限がある状態。比較的就労との両立がしやすいが、症状の変化には注意が必要

なお、上記はあくまで一般的な傾向であり、個別の状況により判断は異なります。就労を開始した場合の審査結果について、当事務所が特定の結果を保証することはできません。

4. 副業・アルバイトを始める際の実務上の注意点

実際に副業やアルバイトを検討される際、以下の点を事前に確認・整理しておくことをお勧めします。

  • 主治医への相談:就労が病状に与える影響を医師の視点で確認する。就労許可の有無が診断書に反映されることもある
  • 障害者雇用か一般雇用か:障害者雇用枠での就労は職場側の配慮が記録されやすく、審査上も状況が明確になる場合がある
  • 就労時間・収入の記録:月ごとの勤務実績や収入を記録しておくと、更新時の資料作成に役立つ
  • 更新時期の把握:次回の障害状態確認届の時期を確認し、就労開始のタイミングや診断書の内容を主治医と事前にすり合わせておくことが望ましい
  • 確定申告の要否:給与以外の副業収入が年間20万円を超える場合、原則として確定申告が必要になります。障害年金自体は非課税ですが、副業収入は課税対象となる場合があります

5. 在宅副業・フリーランスの場合の留意事項

近年はクラウドソーシングやネット販売など、在宅で行える副業の選択肢が増えています。体調に合わせて働けるという点で障害のある方に活用されることもありますが、いくつか留意点があります。

フリーランスとして継続的に収入を得ている場合、その活動実態(週あたりの稼働時間、業務内容の安定性など)が「就労能力の回復」と判断される材料になる可能性があります。収入の多寡よりも、就労の継続性・安定性・業務遂行能力がどの程度維持されているかという観点が審査では重視されます。

また、事業所得が発生した場合は翌年の住民税通知などを通じて自治体に収入情報が把握されます。特に20歳前傷病による障害基礎年金を受給している方は、所得確認が年金機構に共有される仕組みになっているため、所得状況の管理は丁寧に行う必要があります。

6. 就労を検討する前に専門家に相談すべき理由

障害年金と就労の関係は、傷病の種類・等級・就労形態・更新時期などが複雑に絡み合います。「少し働いてみたいが年金が止まると困る」という不安を抱えたまま就労を見送っている方も少なくありません。

一方で、適切な情報なく就労を始め、更新時に等級が下がったり支給停止になったりするケースも実務では見られます。就労開始前に現在の受給状況・更新時期・主治医の意見を整理した上で、社会保険労務士や年金事務所に相談することが、結果として安定した生活設計につながります。

当事務所では、受給中の方からの就労に関するご相談にも対応しています。個別の状況に応じた情報提供を行い、必要に応じて主治医との連携や書類整備のサポートをいたします。お気軽にお問い合わせください。

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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。個別の申請可否・受給可能性は個別事情により異なります。

執筆:東亮介(社会保険労務士/社労士登録番号 第27130052号)

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